2019-01-01から1年間の記事一覧

BRUTUS 決闘写真論

BRUTUS 決闘写真論 大型カメラを使う場合、あらかじめ頭の中で画を完全に作り上げておかないと撮れないからです。私の場合、セッテイングの前にはすでに写真が決定しているのです。スティーブン・ショア P21 まあ、この雑誌全体を見れば決闘ではなく、なれ合…

見るという過程を通して、人は発展していくのだとは思いませんか。

見るという過程を通して、人は発展していくのだとは思いませんか。 人が発展するのではなく、人が発展させるものだろう。人は練習を積んで、人はものを見るということを学ぶのだ。テニスと同様に、実戦を積むほど上達する。身のまわりのものをよく観察するほ…

あの有名な、母親が娘を風呂に入れる写真はどうやって撮ったのですか。

あの有名な、母親が娘を風呂に入れる写真はどうやって撮ったのですか。 ある日、私は妻のアイリーンに言った。「例の写真を撮ろうと思う」。私の頭のなかには、子供が母の抱かれ、愛情が滲み出てくるような絵が構想としてあった。私は彼らの家を訪ね、拙い日…

写真史家に要求されるものは

写真史家に要求されるものは 大卒程度の教育、素質、信頼できる性格、正確な判断力、広範な知識、美術に関する鑑識眼、几帳面さ、忍耐力、文筆力。たぶんこういったものが不可欠の要素だろう。 ヘルベルト・ゲルンシャイムへのインタビューより

写真のなかに具現しょうとしてきた人間哲学のようなものはありますか。

写真のなかに具現しょうとしてきた人間哲学のようなものはありますか。 多くの場合、芸術家の語る未来の計画、過去の成果は、不適当であり、たいして意味のない言葉だと思う。大切なのは作品そのものであり、ある意味では芸術家は作品をもとにした人間哲学に…

これから写真を始めようとする学生に対して、どのようなことをさせますか。

これから写真を始めようとする学生に対して、どのようなことをさせますか。 自分自身の経験を深く見つめて、写真のなかに何を表現したいのかを自覚させるようにしたい。観察を続けていると、自分が特定のものに繰り返し繰り返し注目するのに気づく。そして注…

美術教育について、何かお考えをお持ちですか。

美術教育について、何かお考えをお持ちですか。 いまだにどうやって絵を描くかを教えているものがいる。美術学校では、キャンパスの上のことだけにしか関心を示していないように思える。こういったアカデミックな概念がいまだに生きているというのは驚きだ。…

マグナムという名はどこから来たのですか。

マグナムという名はどこから来たのですか。 キャパが付けたのだ。シャンペンと関係があるのかどうかは知らない。けれど、会議のたびに一本開ける口実にはなった。 ジョージ・ロジャーへのインタビューより。

あなたの写真のなかには、中心になる哲学的なテーマがありますか

あなたの写真のなかには、中心になる哲学的なテーマがありますか 自分を楽しませることができるかどうかという問いだろう。もしそれができれば、主題を楽しませることもできるだろうし、観衆を楽しませることもできるだろう。テストにはなる。けれど、まず自…

記録写真の将来をどうお考えですか。

記録写真の将来をどうお考えですか。 詩情の表現ということを除いては、写真の記録的な側面に興味を持ったことはない。生活から浮かび上がってきたような写真だけが私を惹きつけるのだ。見ることの歓び、感性、官能、イマジネーション、そういったものを心に…

学校で修業したことや、写真に欠かせない綿密さや訓練を無駄なことだと思いますか

学校で修業したことや、写真に欠かせない綿密さや訓練を無駄なことだと思いますか。 いや、私はプロになったのだから。写真家になるためには修業が、膨大な忍耐力が必要だというのは事実だ。よく写真家は「イメージの狩人」だといわれる。写真家をそんなふう…

現代アート写真原論 後藤繁雄ほか

現代アート写真原論 後藤繁雄ほか まず、中心となっているのが、3人の賢そうな対談(世間話)と、3本のエッセイであるにもかかわらず、タイトルをその時代のスタンダートな理論(写真にそんなものはない)を示すであろう原論と名づけるのは知的欺瞞ではない…

月並み写真万歳⁉

ついつい月並み写真の何が悪いと、居直りたくなるのですが、ここで子規の月並み俳句に関する話を読むと、さすが子規、月並み写真でええやんとは言えなくなりました。 月並み俳句に関して子規が語ったこと 1・感情に訴えずに知識に訴えようとするもの。2・…

ドキュメンタリー写真のパイオニアとしてあなたとカルティエ=ブレッソンがよくあげられますが、そういった呼ばれかたに対しては、どうですか

ドキュメンタリー写真のパイオニアとしてあなたとカルティエ=ブレッソンがよくあげられますが、そういった呼ばれかたに対しては、どうですか。 自分のことを報道写真家だとか写真記者だとかとはおもわない。なぜなら、新聞社の仕事で時事的な興味のある写真…

あなたの写真には直感的なものがあります。そうは思われませんか

あなたの写真には直感的なものがあります。そうは思われませんか。 制作するときはいつも瞬間の命ずるままに動く。感じたことを行動に移す。それがいちばん大切なことだ。見るだけならだれにでもできるが、見通すことはそうはいかない。私は計算したり考えた…

写真は記録だと思われますか。それとも芸術作品なのでしょうか

写真は記録だと思われますか。それとも芸術作品なのでしょうか。 私は愛情をこめて写真を撮る。だから、芸術作品をつくろうとしていることになる。けれど、まず、なによりも自分のためにつくっている。それがいちばん大切な点だ。その結果が芸術作品になれば…

アッジェ

アッジェ 20年代にシュルレアリストの雑誌に何枚かのアッジェの写真を載せた時、アッジェは言ったものだ。「私の名前は載せないでくれ。これは単なる記録なんだから」。アッジェは表に出たがらない男だったわけだ。 マン・レイのインタビューより

ホンマタカシの換骨奪胎 ホンマタカシ

ホンマタカシの換骨奪胎 ホンマタカシ ホンマタカシさんはなぜ写真を撮らずに、あまり面白くもないこんな本を作っておられるのかに興味があります。 まあ、日々のお仕事なんでしょうから文句をつけてはいけませんが、写真やアートという間口の広い世界で、な…

現代アートの本当の学び方  フイルムアート社編

現代アートの本当の学び方 フイルムアート社編 予想に反して面白く読ませていただきました。アート系教育機関に関心のある層にターゲットを絞った構成と、比較的若い(安定しない・大家ではない)著者のみなさんは、この本の本意かどうかは知りませんがその業…

仏教サイコロジー 藤田一照 プラユキ・ナラテボー

仏教サイコロジー 藤田一照 プラユキ・ナラテボー 対談という形式が、主題を深める「問い」の提示と、「問い」への解答を出すための思考の過程を表現したものであるとすると、この本は藤田さんの繰り言がメインのものでしかないと思いました。また、これから…

映像の歴史哲学 多木浩二 今福龍太編

映像の歴史哲学 多木浩二 今福龍太編 講演集ということで、読めるというのがありがたい。まあ、文章は読めるのだが、この講義で著者が何を言いたいのかがわかるわけではない。モノを知っていることだけでよかった時代の、例えばこの人(思想)を日本に最初に…

<生命>とは何だろうか 表現する生物学・思考する芸術 岩崎秀雄

<生命>とは何だろうか 表現する生物学・思考する芸術 岩崎秀雄 前半は普通(多分)の現代生物学入門でした。後半の生命美学という聞きなれないキーワードで語られる部分は、おそらく著者が制作されている生物美術作品(バイオアート)の自己解説とアピールな…

とおり越してゆく春

ネクラーソフ 鈴木正美訳 冬 冬 冬 冬 冬 冬 冬 冬 冬 冬 冬 冬 冬 冬 冬 そして春 春 春 春 春 春 春 春 春 春 春 春 春 ほんとうに春

まぎれもなく変態さん

This is Bacon(僕はベーコン) キティ・ハウザー回想 フランスシス・ベーコン デイヴィッド・シルヴェスターフランスシス・ベーコンインタビュー デイヴィッド・シルヴェスター 再読 まぎれもなく変態さんなんだろうけれど、描かれたものに驚きや不思議さは…

さくら

さくらさくらという世間にひろく拡散しているイメージのあるものを写真に撮るのは難しい。さりとて一葉の絵葉書のような美しいさくらを撮る腕はない。さらに難儀なところは、そうであるにもかかわらず、さくらには写真を撮らずにはいられないパワーがあるこ…

親鸞 全挿画集  山口 晃

親鸞 全挿画集 山口 晃 小説(?)の挿画というジャンルは様々な制約がありめんどうなようで、いつもの山口さんらしいアイディアとそれを表現するテクニックは影を潜めており、厚さの割には満足感の少ない画集でした。制約(制度)や親鸞を書かれた五木先生…

いくつもの道ははじまつてゐるのだ

勾配 森川義信 非望のきはみ非望のいのちはげしく一つのものに向つて誰がこの階段をおりていつたか時空をこえて屹立する地平をのぞんでそこに立てばかきむしるやうに悲風はつんざき季節はすでに終りであつたたかだかと欲望の精神にはたして時は噴水や花を象…

月並み写真

自問自答5 問い 月並み俳句ならぬ、月並み写真について。 答え 柿食へば鐘が鳴るなり法隆寺 さすが子規はすばらしい、秋の一日のイメージが目の前に広がるようだ。なんていいたくなってしまう。 そして、この句から子規の名と、露出量の多さという、いわば…

評価の水準原点

自問自答4 問い 評価の水準原点のようなものはあるのか。 答え 神がいるならばあるだろう、いなければないだろう。 問い それは写真(に限らず)の評価というものはもともと不可能ということなのか。 答え 趣味、嗜好、好き嫌いなど、見る人が判断するため…

なぜ写真を撮るのか

自問自答 3 問い なぜ写真を撮るのか。 答え このあほらしい直球に答えることにあまり意味はないだろう、なぜご飯を食べなければならないのだろうと問うこととと同じことだからだ。 問い それでは、どのような写真を撮りたいのか 答え 基本的なことを言って…