2021-01-01から1年間の記事一覧

コミュニケーションを断絶しようという意志

芸術は呪術である。人間生命の根源的混沌を、もっとも明快な形でつき出す。人の姿を映すのに鏡があるように、精神を逆手にとって呪縛するのが芸術なのだ。ところで理解することを、あくまでも拒否することが、また芸術の本質である。たしかに芸術家は己の世…

サンタクロオスにもらふなら ほんとに火のつくハヴアナがいいな。

街上比興 高村光太郎 蹉跌は証だ。 真なるものは必ず蹉跌す。 蹉跌の深みに転落せぬもの、己はそいつの友ではない。 君見たまへ此のおもちや屋の葉巻の灰は崩壊しない。 サンタクロオスにもらふならほんとに火のつくハヴアナがいいな。

教養としての写真全史 鳥原学

教養としての写真全史 鳥原学 ちゃんと読めばいいことや新しいことが書いてあるのかもしれませんが、読む気がしません。 アマゾンを見ると同じような本を短期間で出されているようなのはお商売なのでいいとしても、教科書としてみてもまとまりのなさや方法論…

勾配  

勾配 森川義信 非望のきはみ非望のいのちはげしく一つのものに向つて誰がこの階段をおりていつたか時空をこえて屹立する地平をのぞんでそこに立てばかきむしるやうに悲風はつんざき季節はすでに終りであつたたかだかと欲望の精神にはたして時は噴水や花を象…

映像世界 最終章 (再掲載)

映像世界 最終章 スーザン・ソンタグ 映像世界とは70年代を中心とした映像の時代のメディア論として読んだが、その中ではカメラなどの道具と、表現メディア(媒体)としての写真のかかわりなども様々な角度から取り上げられている。 また、この本には「引用…

写真家四十八宜

光芒亭主人「写真家四十八宜」(しゃしんをうつすひとよんじゅうはちよろし) 安井仲治作 (「丹平写真倶楽部会報」第七号、1940年より) い いつそスラムプは大なるがよろし ろ ろくでもないもの感心せぬがよろし は ハツと感じたら写すがよろし に ニ…

安井仲治を経験する

安井仲治を経験する 写真は多少サイズや色調が異なっていても、その核となる部分は伝わるというアートだ。むろんオリジナルプリントは大事にしなくてはならないが、お商売でもない限りとにかくネットにある写真であっても見るという経験を優先した方がよいの…

UNTITLED FILM STILLS

シンディ・シャーマンの個々の写真にはタイトルがない、それは写真そのものがタイトルであり、コンセプトであるからだそうだ。

写真の四福音書

写真の四福音書 この章のタイトルは写真の伝道者のことなのだろうか、それとも教会システムならぬ、写真システムを作り上げた人たちととそのシステムいうことなんだろうか。写真が確立されたものに成ってゆく過程、言い換えれば写真における美術館システム(…

深瀬昌久伝 瀬戸正人

深瀬昌久伝 瀬戸正人 〇著名な写真家のエピソードもたくさん書かれていて、この時代の写真や写真家に興味のある人にとっては読んで損はないと思いますが、私はこの時代の写真家の書かれる文章はなぜか文学青年風のものが多く、文章をそぎ落として作っていく…

人を撮る

撮らせてくださいとお願いすると、思いのほか皆さん快く撮らせてくださる。 それでも人を撮るのはしんどく、そしてなぜか後ろめたさもついてくる。

写真といふものは実と虚との皮膜の間にあるものなり

虚実皮膜論 近松門左衛門 『難波土産』より 虚実皮膜の論 (なにわ土産 虚実ひにくの論) 近松門左衛門へのインタビュー この論もつとものやうなれども、芸といふものの真実の行き方を知らぬ説なり。芸といふものは実と虚との皮膜の間にあるものなり。なるほ…

アイリーン・美緒子・スミス氏インタビュー

「入浴する智子と母」に関する写真使用をめぐって(転載させていただきました。) 「入浴する智子と母」は、私とユージンが1971から1974年まで、熊本県水俣市に住んでいた時に撮影した写真です。1971年12月、うすら寒い冬の日の午後、あの小さなお風呂場で智…

ユージン・スミスへのインタビュー

写真術*21人の巨匠 ポール・ヒル他 w・ユージン・スミスへのインタビュー 報道写真とドキュメンタリー写真の間に、区別があるとお考えですか。 いや、報道写真とは目的を持ったドキュメンタリー写真だと思う。「ドキュメンタリー」という言葉の唯一の欠…

Nへの手紙 森山大道

Nへの手紙 森山大道 この写真集 Nとは予想通り中平卓馬さんのことで、写真集の後ろの部分に80年代に雑誌に書かれた、中平さんあての数通の手紙が掲載されています。しかし、この手紙などはおまけで、比較的最近に湘南周辺で撮られた写真が主な要素であると…

視覚のヒロイズム

視覚のヒロイズム のチャプターを読む (再アップ) アルフレッド・スティグリッツは1893年2月22日、彼の有名な写真「冬の五番街」を撮ろうとして、「ここぞという瞬間を待つて吹雪の中を三時間も立ち尽くしたと、誇らしげに報告している。ここぞとい…

秋の夕暮れ 

寂しさに 宿を立ち出でて ながむれば いづこも同じ 秋の夕暮れ 良暹法師

スーザン・ソンタグを読む

メランコリーな対象 のチャプターを見る (再アップ) 昔読んだときはシュールレアリスム(特にオートマチズム)と写真を結びつけて考えているのはさすがだなぁと思ったかすかな記憶があったが、読み返してみるとちょっと違うようだ。 どうやらシュールレア…

感覚の鋭い人は考えている人なんだろう

(絵画との写真の対比に続いて)写真という表現形式に特有の透明性に起因していると思う。この特性によって写真の凄さには複数のベクトルが生まれることになる。プロの写真家が「道端の犬」を特別に恰好良く撮った写真が「すごい」ことの一方で、「本物の宇…

写真で見る暗いアメリカ 

写真で見る暗いアメリカ (再アップ) この章のマクラはホイットマンである、(アーバス)の写真で見る(1970年代)の暗いアメリカに対比するシンボルとしてのホイットマンといったところか。 なんて書いたが、ホイットマンの草の葉は読んだ振りをしただ…

プラトンの洞窟で

スーザン・ソンダク 写真論 プラトンの洞窟で のチャプターを読んでみる (再アップ) ●すでに定評のある本に何を言いたいのか。 〇思いついた適当なヨタ話をかいただけなので、皆さん方に置かれましては、くれぐれも以下の文章を信じることなく、ご自分で読…

写真はイメージです

歌人の穂村弘さんが選者で選評を書いている「短歌ください」という雑誌の投稿コーナーがあり、そのお題が写真だった時の2作品。 うつくしく笑う遺影の片隅に小さく「写真はイメージです」(カー・イーブン) 焼けた砂の匂いがふっと漂ってアルバムを繰る手…

写真の物語 打林 俊

またまた、ちゃんと読まずに書いています。すいません。 〇なぜちゃんと最後まで読まないのか。 ●面白くなかったからだけれど、①豊富なトピックが書かれているが、どれも聞いた(読んだこと)があるような話で、新鮮味が感じられなかった。②各チャプターが変…

見たことのない写真

見たことのない写真、見たことのない表現に向かってみんな歩いているわけで、だから、見たことのないものを評価することは難しく、評価の基準が過去の経験に寄りかかっている先生方のお言葉なぞ気にする必要はないということだ。 もつとも自由(ここでいう自…

権威

権威の消失はいいとしてもその対価として自分で考えるという 面倒なことを要求される訳だむろん偉い先生がちゃんと考えてくれればいいのだがそうは問屋が卸さないのが浮世のならい

合 掌

アートとは内面的な探求であり──成功すればそれは「よかった」と言えますが──成功は決して重要ではありません。私はたまたま多くのお金を稼ぐことができており、それは嬉しいことではあります。しかし、お金を稼ぐこと自体は「よいアーティストであること」…

ファインアート写真の見方 福川芳郎

ファインアート写真の見方 福川芳郎 写真を売りたいと考えている人にとっては優れた手引きとなる本だと思いました。 高く売れる写真が良い写真であるとは限らないものの、これはこれで納得の行く考え方だと思いますし、写真マーケットなどに関してもイメージ…

いまーここ

写真を眺める者はそこに、現実がこの写真の映像としての性格にいわば焦げ穴をあけるのに利用したほんのひとかけらの偶然を、<いまーここ>的なものを、どうしても探さずにはいられない。 写真小史 ウォルター・ベンヤミン p16 写真は写された時のイメー…

写真関連書籍

写真関連書籍(再挙) ○写真の読み方 「写真の読み方」 名取洋之助 岩波新書 1963年 50年以上前に書かれた本だが、熱さが伝わってきて読ませる。実例をあげた組み写真の作り方など、古びてはいない部分もある。 「フォト・リテラシー」 今橋映子 中公…

写真の特性

今ここにあるものしか写真には撮ることができず、そしてシャッターを押した瞬間にそれは過去になる。 森山大道さん流に言うと「過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい」ということなんでしょうし、それが写真の特性であり、面白いところなんだと思います…