巡りあえない時もある

アダム スミス 水田洋


最初の経済学者と言われるアダム・スミスの評伝。


一般常識的な知識を得たいと思って読み始めましたが、要領を得ない文章がだらだらと続く感があって読みにくいのと、多数ある引用も素人が言って申し訳ないのですがあまり的確になされていないような気?がしました。


いま読んでいる文庫は1995年発刊と古いものではないのですが、たぶんこの文章を書かれた時期(もしくは構想された時期は)は古いものだろうと推測しています。ということでたぶん新しいアダム・スミスに関する本があると思われますので、旧い本を読むことはないと思いました。

KING OF POPS sideB 江口寿史


江口寿史の回顧展?を書籍化した本。


江口寿史の正直日記」という本が面白かったので手に取ってみましたが、文を書いているのはご本人ではなく編集者の宮本大人という人のようで、思っていたのとちょっと違いました。


江口寿史の制作ジャンルや時代による活動を分類し、漫画やイラストとともに纏めてあるのですが、文が面白くないのと、文と漫画やイラストのレイアウトが良くなく、また絵が小さいので、残念な本となっています。

カントとアラーキーの本 


カント 貫成人


カントの考えたことのあらましを知ることのできる本。


カント独特のことば、例えば悟性やらアンチノミ―をわかりやすく解説されていたり、なぜ三大批判書があり、それぞれの役割・内容と流れが分かりやすく概説されており、カントの著作に取り掛かる前に、読んでおくと役に立つのではないでしょうか。


ただ、どううまくダイジェストされていても抜け落ちるものの方が多いのは致し方ないし、この本だけを読んでカントを理解するのは難しいというのはのは、当たり前の話ではあります。


荒木経惟・写真に生きる。  荒木経惟


自伝的なコラムと写真で構成された本。


最近の写真は心身の衰弱もあってか力のないものが多く、晩節を汚すようなできの悪い本だとは思いますが、この本ではたぶん荒木さんよりも編集した方の問題が多いのではないかとも思います。


写真を編集することの大切さをよく知っている荒木さんであっても、写真そのものの魅力がないと工夫・編集のしょうがないとも言えるのかもしれません。

 

神道を読む 2

神道を読む 2


神道入門 新谷尚紀


読む必要のない本。


民俗学者ということで、庶民から見た神道、言い換えれば氏子や信者さんから見た神道とはいかなるものかというのは霧の中で、大いなる期待外れ。


歴史的背景も良く書かれておらず。この本を読んでも、神道というよく分からない宗教へのとっかかりも持てないだろうと思いました。


ただ、この新書でよかったことは、解説がまったくないものの参考文献一覧があることくらい。


神道入門 井上順考


神道の概略を知るためには最適な本。


古代神道の歴史から戦後の混乱期以降までの流れが、無駄な記述もなく、コンパクトにまとめられており入門書として優れた本だと思いました。


また、新宗教に詳しい著者であるため、神道新宗教の概略も知ることができてありがたいです、もっともこの本(だけではない)も天皇神道の関係に踏み込めないのは致し方ないことなのかもしれません。

 

神道を読む

神道という訳の分からないものを読んでみる。


神道の逆襲 菅野覚明 再読


仏教伝来以降の神道の歴史を記述した本。


後の方になるとなんだかイデオロギー的なにおいが強くなってくるように感じますが、神道思想がいかに構築されていったかが分かるように書かれていて、参考(なんのだ)になりました。


室町時代に成立し、江戸時代には神道界の頂点に立って全国の神職を支配した吉田神道は、そうした新宗教としての神道の典型である。p117


日本人の神道 島田裕巳


何がテーマなのかがよく見えない本。


様々なトピックはあるものの、それがどう関連付けられているのかがよく分からない、宗教学者ということでデータはいろいろおお持ちなんのでしょうが、それが生かされているいるようには見えませんでした。


お仕事で書かれているのは致し方ないとしても、神道の概略を知るために読まれることが多いと思われる新書としては、まとまりが悪く役に立たないものだと思いました。

 

私は吉本隆明ファンだったのかもしれない

私は吉本隆明ファンだったのかもしれない


隆明だもの ハルノ宵子


クールな筆致で描かれた吉本家のファミリーヒストリーのような本。
埴谷雄高さんが徘徊老人になり、吉本さんも糖尿病や老化が進行して行きお亡くなりになって、昭和も遠くなりました。

民衆や大衆などと標榜して本を書いていたインテリの皆さんも加齢によって地が出てきて、大衆のことなんてホントウはそんなの関係ないと忘れ去られておられる中で、吉本さんが体を張って「大衆の原像」を具現化されておられたのは素晴らしいと思わずにはおれませんでした。
文学的なものは苦手なんだけれど、吉本ファンへの呪詛を含めて、この本も、前に出された「開店休業」も楽しく読ませていただきました。


猫だましい ハルノ宵子


親族やご自身の闘病記、猫の話、吉本隆明フアン向けのトピックなどを明晰かつブラックなスタイルでかかれており、楽しく?面白く読ませていただきました。
なんだかんだとハルノ宵子さんの本を続けて読ませていただきました、お勧めです。


フランシス子へ 吉本隆明


吉本さんの最後の本。
フランシス子という名の猫と吉本隆明さんの感動?の物語の本。
ボケるのはいいなぁと思うけれど、周りはかなわんだろうなとは思いました、この本を含めて晩年の吉本さんはなぜだか、インタビューや聞き書きが大半でしょうが、驚くような量の本を出されておられましたが、本を出す側の思惑だけではなく、吉本さん自身にも何かを伝えたいという強い思いがあったのだろうと推測いたしました。

高田渡を読んでみた

 

高田渡を読んでみた


個人的理由 高田渡


歌詞を集めたものではなく普通の詩集です。
二十歳前後の若いころに書かれた詩を編集した詩集ですが、あまり惹かれるものはありませんでした、自転車に乗って等の歌詞はいい感じなので、晩年に詩作されたものを読んでみたかった気がします。
佐内正史さんのくだらない詩集を読んだことがありますが、それとは違ってちゃんと詩を書こうという心意気があるので不快にはなりません。


バーボン・ストリート・ブルース 高田渡


自伝的コラム集といった本。
若いころの回想が中心となっている前半部分は面白く読ませていただきましたが、後ろの方はイデオロギー臭が強くなってきて好みではありませんでした。


高田渡の視線の先に -写真擬1972-1979 
写真好きでもあった高田渡さんの写真集。
仕事仲間や旅の写真など高田渡フアンにとってはとても魅力的な写真集です。
高田渡さんの短いストラップでバルナックライカを首から下げている写真はステキです。

 

 

制度論

 

「美術館はスポンサーに働きかけるために文化的権威と信用が必要なのです。そして画家も同じでしょう。かくて依存のあらゆる回路ができあがります。画家たちは市場に出ていくためにも、公的な援助を得るためにも、美術館で展示することを必要としています。美術館はスポンサーを得るためにも、公的決定機関から評価される必要があるわけです。こうして圧力と依存が交叉した全体ができあがり、たとえ抵抗があるとしてもこのような構造が機能し続けるわけです。」


ブルデュー  自由‐交換―制度批判としての文化生産

 

ブルデュさんはどこかで社会学は制度批判の学であると言っていたような、いなかったような。