親鸞 全挿画集  山口 晃

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親鸞 全挿画集  山口 晃

小説(?)の挿画というジャンルは様々な制約がありめんどうなようで、いつもの山口さんらしいアイディアとそれを表現するテクニックは影を潜めており、厚さの割には満足感の少ない画集でした。
制約(制度)や親鸞を書かれた五木先生に関しては絵に添付されたコメントで、チクチクと刺しておられるので、そこら辺を楽しまれるのも一興かと存じます。
五木先生のような才能の枯渇した小説家が仏教に流れるのは日本の伝統芸で、安定した需要も見込めるために手を出してしまうのでしょうが、信仰も学問的研鑽もない、読みものが市中に垂れ流されるのはどうなんでしょうか。
まあ、マンガや小説(のようなもの)で仏教や宗派のアウトラインを知ることは悪くはないですが、仏教という知的蓄積の層の厚い分野で、何らかの新しい解釈をすることは難しく、通説のリライトに過ぎないものになるのは致し方のないところでしょうし、探せば、さまざまな仏教分野で手引きとなるいい本も多いのでもったいないとは思います。