メランコリーな対象 のチャプターを見る (再アップ)
昔読んだときはシュールレアリスム(特にオートマチズム)と写真を結びつけて考えているのはさすがだなぁと思ったかすかな記憶があったが、読み返してみるとちょっと違うようだ。
どうやらシュールレアリスム関連の話はこの章の狂言回し的な役割で、あまり深く考えていくということではなさそうで、読み込んでいくテキストは、どちらかというと正統的な写真を撮るアウグスト・ザンダーなどのようである。
自分やだれか知り合いの、あるいはよく写真になる世間の人の昔の写真を見てまず感じることは、なんて私(彼女・彼)は若かったんだろうという思いである。写真術は死すべき人間の目録である。p77
まあ、ファミリーアルバムに貼ってある写真に関してならそれでもいいが、私の撮る写真(アートとしての写真だ)に対しては何も言っていないのと同じだ。
メランコリーな対象とは、写真に撮られた死にゆく私とあなたの記録ということで、いろいろ書いてあるがそりゃあそうだろうとしか言えない。
結論としては無粋なツッコミはやめて作品としての文芸評論を読むことを楽しめということで、おしまい。